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最高裁判所第二小法廷 昭和31年(オ)396号 判決 1958年10月03日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人の上告理由第一点について。

所論は要するに被上告人らは上告会社の株主でなく原審は商法二〇四条二項の解釈を誤つたと主張する。しかし、所論の如き株式の譲渡がなされた旨の上告人の主張については、原審が証拠上これを排斥していることは判文上明白であるから原審の商法二〇四条二項の判示は結局無用の説示に帰しこの点を攻撃する所論は採用し難い。

同第二点について。

所論は要するに本件株主総会決議は有効に成立したもので、たとえ手続に瑕疵ありとするもそれは決議取消の事由たるに過ぎず、これを決議不存在と解するのは誤りである旨主張する。

しかし原審は所論総会当時における上告会社の株主は原判示の如く被上告人、真砂、植村、田辺、中西、中田、上告会社代表取締役西島弥太郎、西島益男、坂本の九名(総株式数五千株)であること、しかるに右総会については被上告人以下六名(その持株二千百株)に対しては招集の通知が全然なされなかつたこと、西島益男及び坂本に対したとえ招集の通知があつたとしても、それは単なる口頭の招集にすぎず、しかも右西島益男及び坂本の両名はいずれも西島弥太郎の実子であることを認定し、所論株主総会の決議は、なんら法律所定の手続によらず単に親子三名によつてなされたことが明白であるから、これをもつて株主総会が成立し、その決議があつたものといえない旨判示しているのであつて、原審のこの判断は相当である。

よつて所論は採用し難い。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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